思ったよりも早くIS学園に着いてしまった。 一言で表せば、デカい。 無茶苦茶デカい。 幕張メッセかと思っちゃったぜ。 IS学園の前にはガタイの良い数人の警備員と、黒スーツ姿の女性の姿があった。 どこかで見たことのある顔だ。 」 「は、はじめまして。 比企谷八幡です。 」 「私は織斑千冬だ。 お前のクラスの担任でもある。 」 「お、織斑千冬!?」 織斑千冬。 その名を知らぬ者はこの世界にいないだろう。 第一回IS世界大会、通称モンド・グロッソの総合優勝及び格闘部門優勝者。 公式戦の記録は全戦無敗。 その美貌と実力より、「プリュンヒルデ」と呼ばれ、世界で慕われ続けている。 少し前に現役を引退したのはテレビで報道されていたので知っていたが、まさかIS学園の教師となっていたとは思いもしなかった。 あ、テレビってのはチバテレビな。 ここテストに出るから。 「ど、どうも。 出会えて光栄です。 」 「ふふっ、思ってもいないことを口にするんじゃない。 全く、君は前任の担任に聞いた通り、根性の曲がった人間なのだな。 」 世辞を神回避された。 なんなの?回避性能+2なの?モンハンなの? しかも平塚先生何しでかしてくれてんだ。 なんか笑ってるしもう明るい未来が見えない。 あっ、元々でしたねすいません。 「まあ、ここで根性の曲がった事をしていたら私がお前を叩き潰す。 私の事は織斑先生と呼べ。 」 「わかりました、織斑先生。 」 「ふむ。 では、お前の寮室に向かいながら色々尋問するとしよう。 」 「えっ、あの、ハイ。 」 ここ学校だよね?海軍とかじゃないよね?この時点でこの先生きのこれない希ガス。 ちょっと首吊ってきます。 会えなくなった訳じゃないんだ。 」 「そうよ、少し落ち着きなさい由比ヶ浜さん。 」 比企谷八幡のIS学園への転校。 世間ではまだ発表されていないが、職員室では大騒ぎとなっていた。 扱いとしては、親の用事で転校という事になっている。 彼の担任である私は、彼が所属していた奉仕部の部員には本当の事を伝えるべきだと思い、部屋の扉を叩いた。 それで伝えたのはいいのだが、予想以上に由比ヶ浜が動揺している事に、私の方が驚いた。 あいつ自分の事ぼっちって言ってたよな?ん? 「どういう事ですか?」 「かくかくしかじかと言う訳でだな。 」 事情を説明すると、雪ノ下は苦虫を噛み潰したかのような顔をする。 あれ?この反応おかしいぞ。 二人とも、すまない。 」 「いえ、先生は何も悪くありません。 本人も別にどう思ってる訳でもないでしょうし。 」 「ゆ、ゆきのん!?」 「そうでしょう。 だって、比企谷くんはこの学校が好きだった訳でもない。 違うかしら?」 雪ノ下の言う通り、確かにあの男はこの学校が好きな訳ではなかっただろう。 だが、彼はこの部活の事が嫌いじゃなかった筈だ。 それは、この目の前の少女も同じだ。 あの男も、雪ノ下も、どちらも自分に素直になれない。 捻くれ者で、誰よりも純粋な、自分の道を求める人間だ。 だからこそ、私は雪ノ下を正してやらねばならない。 「それは違うな、雪ノ下。 何故私があの目の腐った男を気に入らなければならないのですか?」 ムッとした表情。 やはり、こいつもまだまだ子供だ。 「お前は比企谷を拒まない。 それが答えだ。 」 「平塚先生。 確かに私は彼を入部させましたが、それはあなたの頼みだったからです。 」 「それは論点のすり替えだな。 私が聞いているのは、お前が比企谷を拒むか拒まないかの話だ。 だからこそ、彼女の行動は読みやすい。 彼女の思いも、その信念も。 「まあいい。 取り敢えず比企谷の電話番号を教えといてやろう。 煮るやり焼くなり好きにしろ。 「平塚先生。 」 「なんだ?」 私の背中に声がかかる。 テレビで話題の織なんとかさんは織斑だったのか。 これもうわかんねえな。 部屋は入れ替えがあるらしく、荷物は織斑先生に預けた。 なんてことがあって現在、俺はIS学園1年1組の扉の目の前に立っている。 「ほら、入ってこい。 いや、織斑先生の弟がいるから厳密にはハーレムではないのか。 どっちにしろ、俺のような人間が女衆の中に突っ込んだらそれこそ発狂物だろう。 俺も嫌過ぎて発狂する。 あ、ちなみに俺は高二。 ここ1年1組。 後はわかるな?でも、こんな状況だって覆せる。 そう、iPhoneならね。 「おい。 」 「はっ、はい。 」 扉を開く。 疲れやら緊張やらでガチガチな身体を動かし、織斑先生の横に立つ。 女子の目線が痛い。 特にクロワッサンみたいなの吊るしてるやつ。 あいつこわい。 「こいつは新たな男性IS適性者だ。 おい、自己紹介をしろ。 」 噛んだ死にたい。 今ならハイウェイ・トゥ・ヘル使える気がする。 詳しくは「ハイウェイ・トゥ・ヘル ジョジョ」でググって、どうぞ。 「こいつはISについて右も左も分からないトーシロだ。 お前ら仲良くしてやってくれ。 」 なにこの姉御やだ惚れちゃう。 「お前の席は窓側、一番後ろだ。 」 「わ、分かりました。 」 なにそのベストプレイス。 この先生俺の事知り過ぎだろ。 平塚先生何やってんだ。 俺の事なんて心配してないで早く結婚しろ結婚して結婚して下さいお願いします。 席に着く途中、前席に座っていた男、織斑弟と目が合ったが、すぐに目線を外して自分の席に着いた。 「おい、おーい。 恐らく織斑弟の声だろうが、無視だ無視。 俺は疲れているんだ。 あとリア充とは関わりたくない。 」 ひでえ。 寝てる人に向かって無礼とかひでえ。 いや寝てないけどね? 「私のブルー・ティアーズで叩き起こしましょうか?」 「いやいやそれは死ぬだろ。 」 俺の知らない間にこの二人が俺の運命決めちゃってるよ。 演技もできるとか八幡SUGEEEEEEE!!自画自賛だけどSUGEEEEEEEEE!! というより俺を褒める人なんていなかったわ(絶望)。 「俺このクラスで男子1人だったからヤバかったんだよー。 」 性的な意味でですねわかりません。 軽々しく話しかけてきた織斑弟は、爽やかスマイルをこちらに向けてくる。 すごい葉山臭がする奴だった。 「俺は織斑一夏。 よろしくな。 」 「わたくしはセシリア・オルコットですわ。 以後お見知りおきを。 」 「あ、はい。 よろしく。 」 適当に挨拶をし、再び机に突っ伏す。 「お、おい?」 「色々あって眠いんだ。 つまり俺の目玉は旨味だったのか(動揺)。 「まあ、初対面の人の挨拶も適当に返すなんて人としての品格が知れますわね。 」 「あーはいはいすいません。 」 「なんですのその口の利き方は!?」 品格なんてねえよ。 ぼっちにそんなもんある訳ねえだろ。 この時、俺は珍しくイライラしていた。 家という安息の場所を奪われ、その上奉仕部の二人とも会えなくなってしまった。 特に小町。 暫く小町と会えないというのは、俺の鋼の心にも響くものがある。 だから俺はこの時、こんな反応をしてしまったのだろう。 「ふん。 こんな様子じゃ、ご家族も同じようなダメ人間なのでしょうね。 レベルが知れていますわ。 」 今なんて言った?俺の家族がダメ人間? 俺の視界が真っ赤に染まり、何がに乗っ取られたように狂い出す。 「あ?今俺の家族の事なんつった?」 この瞬間、俺を縛っていた何かが切れた。 しかし、現実はそうではなく、酷く濁った眼をした見るからにひ弱そうな少年でしたわ。 わたくしは少し失望すると共に、人は見た目で判断してはいけないと思い、声をかけました。 そしたらなんと、この男。 まともに挨拶する事もできませんでしたの。 でも、芳しい反応はありませんでしたわ。 」と思ってしまったのです。 そして、何を思ったのかわたくしは立ち去り際に文句を言ってやろうと思い、彼の家族の事を馬鹿にしてしまいましたの。 それで現在に至りますわ。 正直怖いですわ。 織斑先生の比じゃありません。 」 「い、今なんと?」 「俺に話しかけんな!二度と近寄らないでくれ!」 「お、おい比企谷。 わたくしは彼に悪い事をしてしまった事に気付き、小走りで追いかけようとします。 ですが、それよりも早く彼が手にかけた教室の扉が開きました。 「おい、比企谷。 世界最強の人物。 織斑先生でした。 大体の事情は読めたぞ。 おい、オルコット。 」 「ひゃ、ひゃい!?」 突然の声掛けに声がひっくり返ってしまいましたわ。 「一週間後、こいつと模擬戦だ。 」 「!?先生。 俺はそんな事「比企谷。 お前は黙ってろ。 」 織斑先生は彼をギロリと睨み、こちらに視線を向けてきました。 「オルコット。 こいつに代表候補生というものを教えてやれ。 」 「わ、分かりましたわ。 このセシリア・オルコット。 織斑先生の「御託はいいから返事!」 「は、はい!」 織斑先生の計らいによって、わたくしとあの男が模擬戦をする事が決まりました。 この件、わたくしが全面的に悪いとは思っています。 後で、謝つもりでもいます。 しかし、それとこれとは別です。 わたくしは一夏さんの時のように慢心をしません。 徹底的に潰して差し上げますわ。
次の思ったよりも早くIS学園に着いてしまった。 一言で表せば、デカい。 無茶苦茶デカい。 幕張メッセかと思っちゃったぜ。 IS学園の前にはガタイの良い数人の警備員と、黒スーツ姿の女性の姿があった。 どこかで見たことのある顔だ。 」 「は、はじめまして。 比企谷八幡です。 」 「私は織斑千冬だ。 お前のクラスの担任でもある。 」 「お、織斑千冬!?」 織斑千冬。 その名を知らぬ者はこの世界にいないだろう。 第一回IS世界大会、通称モンド・グロッソの総合優勝及び格闘部門優勝者。 公式戦の記録は全戦無敗。 その美貌と実力より、「プリュンヒルデ」と呼ばれ、世界で慕われ続けている。 少し前に現役を引退したのはテレビで報道されていたので知っていたが、まさかIS学園の教師となっていたとは思いもしなかった。 あ、テレビってのはチバテレビな。 ここテストに出るから。 「ど、どうも。 出会えて光栄です。 」 「ふふっ、思ってもいないことを口にするんじゃない。 全く、君は前任の担任に聞いた通り、根性の曲がった人間なのだな。 」 世辞を神回避された。 なんなの?回避性能+2なの?モンハンなの? しかも平塚先生何しでかしてくれてんだ。 なんか笑ってるしもう明るい未来が見えない。 あっ、元々でしたねすいません。 「まあ、ここで根性の曲がった事をしていたら私がお前を叩き潰す。 私の事は織斑先生と呼べ。 」 「わかりました、織斑先生。 」 「ふむ。 では、お前の寮室に向かいながら色々尋問するとしよう。 」 「えっ、あの、ハイ。 」 ここ学校だよね?海軍とかじゃないよね?この時点でこの先生きのこれない希ガス。 ちょっと首吊ってきます。 会えなくなった訳じゃないんだ。 」 「そうよ、少し落ち着きなさい由比ヶ浜さん。 」 比企谷八幡のIS学園への転校。 世間ではまだ発表されていないが、職員室では大騒ぎとなっていた。 扱いとしては、親の用事で転校という事になっている。 彼の担任である私は、彼が所属していた奉仕部の部員には本当の事を伝えるべきだと思い、部屋の扉を叩いた。 それで伝えたのはいいのだが、予想以上に由比ヶ浜が動揺している事に、私の方が驚いた。 あいつ自分の事ぼっちって言ってたよな?ん? 「どういう事ですか?」 「かくかくしかじかと言う訳でだな。 」 事情を説明すると、雪ノ下は苦虫を噛み潰したかのような顔をする。 あれ?この反応おかしいぞ。 二人とも、すまない。 」 「いえ、先生は何も悪くありません。 本人も別にどう思ってる訳でもないでしょうし。 」 「ゆ、ゆきのん!?」 「そうでしょう。 だって、比企谷くんはこの学校が好きだった訳でもない。 違うかしら?」 雪ノ下の言う通り、確かにあの男はこの学校が好きな訳ではなかっただろう。 だが、彼はこの部活の事が嫌いじゃなかった筈だ。 それは、この目の前の少女も同じだ。 あの男も、雪ノ下も、どちらも自分に素直になれない。 捻くれ者で、誰よりも純粋な、自分の道を求める人間だ。 だからこそ、私は雪ノ下を正してやらねばならない。 「それは違うな、雪ノ下。 何故私があの目の腐った男を気に入らなければならないのですか?」 ムッとした表情。 やはり、こいつもまだまだ子供だ。 「お前は比企谷を拒まない。 それが答えだ。 」 「平塚先生。 確かに私は彼を入部させましたが、それはあなたの頼みだったからです。 」 「それは論点のすり替えだな。 私が聞いているのは、お前が比企谷を拒むか拒まないかの話だ。 だからこそ、彼女の行動は読みやすい。 彼女の思いも、その信念も。 「まあいい。 取り敢えず比企谷の電話番号を教えといてやろう。 煮るやり焼くなり好きにしろ。 「平塚先生。 」 「なんだ?」 私の背中に声がかかる。 テレビで話題の織なんとかさんは織斑だったのか。 これもうわかんねえな。 部屋は入れ替えがあるらしく、荷物は織斑先生に預けた。 なんてことがあって現在、俺はIS学園1年1組の扉の目の前に立っている。 「ほら、入ってこい。 いや、織斑先生の弟がいるから厳密にはハーレムではないのか。 どっちにしろ、俺のような人間が女衆の中に突っ込んだらそれこそ発狂物だろう。 俺も嫌過ぎて発狂する。 あ、ちなみに俺は高二。 ここ1年1組。 後はわかるな?でも、こんな状況だって覆せる。 そう、iPhoneならね。 「おい。 」 「はっ、はい。 」 扉を開く。 疲れやら緊張やらでガチガチな身体を動かし、織斑先生の横に立つ。 女子の目線が痛い。 特にクロワッサンみたいなの吊るしてるやつ。 あいつこわい。 「こいつは新たな男性IS適性者だ。 おい、自己紹介をしろ。 」 噛んだ死にたい。 今ならハイウェイ・トゥ・ヘル使える気がする。 詳しくは「ハイウェイ・トゥ・ヘル ジョジョ」でググって、どうぞ。 「こいつはISについて右も左も分からないトーシロだ。 お前ら仲良くしてやってくれ。 」 なにこの姉御やだ惚れちゃう。 「お前の席は窓側、一番後ろだ。 」 「わ、分かりました。 」 なにそのベストプレイス。 この先生俺の事知り過ぎだろ。 平塚先生何やってんだ。 俺の事なんて心配してないで早く結婚しろ結婚して結婚して下さいお願いします。 席に着く途中、前席に座っていた男、織斑弟と目が合ったが、すぐに目線を外して自分の席に着いた。 「おい、おーい。 恐らく織斑弟の声だろうが、無視だ無視。 俺は疲れているんだ。 あとリア充とは関わりたくない。 」 ひでえ。 寝てる人に向かって無礼とかひでえ。 いや寝てないけどね? 「私のブルー・ティアーズで叩き起こしましょうか?」 「いやいやそれは死ぬだろ。 」 俺の知らない間にこの二人が俺の運命決めちゃってるよ。 演技もできるとか八幡SUGEEEEEEE!!自画自賛だけどSUGEEEEEEEEE!! というより俺を褒める人なんていなかったわ(絶望)。 「俺このクラスで男子1人だったからヤバかったんだよー。 」 性的な意味でですねわかりません。 軽々しく話しかけてきた織斑弟は、爽やかスマイルをこちらに向けてくる。 すごい葉山臭がする奴だった。 「俺は織斑一夏。 よろしくな。 」 「わたくしはセシリア・オルコットですわ。 以後お見知りおきを。 」 「あ、はい。 よろしく。 」 適当に挨拶をし、再び机に突っ伏す。 「お、おい?」 「色々あって眠いんだ。 つまり俺の目玉は旨味だったのか(動揺)。 「まあ、初対面の人の挨拶も適当に返すなんて人としての品格が知れますわね。 」 「あーはいはいすいません。 」 「なんですのその口の利き方は!?」 品格なんてねえよ。 ぼっちにそんなもんある訳ねえだろ。 この時、俺は珍しくイライラしていた。 家という安息の場所を奪われ、その上奉仕部の二人とも会えなくなってしまった。 特に小町。 暫く小町と会えないというのは、俺の鋼の心にも響くものがある。 だから俺はこの時、こんな反応をしてしまったのだろう。 「ふん。 こんな様子じゃ、ご家族も同じようなダメ人間なのでしょうね。 レベルが知れていますわ。 」 今なんて言った?俺の家族がダメ人間? 俺の視界が真っ赤に染まり、何がに乗っ取られたように狂い出す。 「あ?今俺の家族の事なんつった?」 この瞬間、俺を縛っていた何かが切れた。 しかし、現実はそうではなく、酷く濁った眼をした見るからにひ弱そうな少年でしたわ。 わたくしは少し失望すると共に、人は見た目で判断してはいけないと思い、声をかけました。 そしたらなんと、この男。 まともに挨拶する事もできませんでしたの。 でも、芳しい反応はありませんでしたわ。 」と思ってしまったのです。 そして、何を思ったのかわたくしは立ち去り際に文句を言ってやろうと思い、彼の家族の事を馬鹿にしてしまいましたの。 それで現在に至りますわ。 正直怖いですわ。 織斑先生の比じゃありません。 」 「い、今なんと?」 「俺に話しかけんな!二度と近寄らないでくれ!」 「お、おい比企谷。 わたくしは彼に悪い事をしてしまった事に気付き、小走りで追いかけようとします。 ですが、それよりも早く彼が手にかけた教室の扉が開きました。 「おい、比企谷。 世界最強の人物。 織斑先生でした。 大体の事情は読めたぞ。 おい、オルコット。 」 「ひゃ、ひゃい!?」 突然の声掛けに声がひっくり返ってしまいましたわ。 「一週間後、こいつと模擬戦だ。 」 「!?先生。 俺はそんな事「比企谷。 お前は黙ってろ。 」 織斑先生は彼をギロリと睨み、こちらに視線を向けてきました。 「オルコット。 こいつに代表候補生というものを教えてやれ。 」 「わ、分かりましたわ。 このセシリア・オルコット。 織斑先生の「御託はいいから返事!」 「は、はい!」 織斑先生の計らいによって、わたくしとあの男が模擬戦をする事が決まりました。 この件、わたくしが全面的に悪いとは思っています。 後で、謝つもりでもいます。 しかし、それとこれとは別です。 わたくしは一夏さんの時のように慢心をしません。 徹底的に潰して差し上げますわ。
次のあー、疲れた」 雪乃「全然疲れてそうに見えないわね」 結衣「確かレポートって……あれ、読書感想文じゃん!」 八幡「たんまり8ページ書いてきたからな。 てっきり下校時間まで怒られるかと……」 雪乃「……もう少し時間がかかるものだと思っていたのだけれど、一体どんな手を使ったのかしら」 八幡「……お前らさ、いい加減にしとけよ」 結衣「えっ……」 八幡「いつもいつも罵倒やら暴言やら人を傷つけてトラウマ抉ってばかりいてさ、お前ら楽しい?」 雪乃「な、何を言って……」 八幡「俺は楽しくなかったね。 いつもいつも我慢してきた。 まだ放課後になってから時間は短いのにも関わらずだ」 八幡「別に、何も無いですよ……」 平塚「嘘をつ……」 八幡「ああ、そうだ。 一体誰が……) 八幡(屋上の鍵が壊れている事は確か女子の間で有名……だったよな。 どうして俺を呼び出した……葉山」 葉山「……昨日、彼女を見かけてね。 酷くやつれていた。 何があったのか聞いてみても何でもないの一点張りだ」 八幡「……」 葉山「そして今日の結衣の不自然な様子。 放課後入ってすぐに奉仕部部室に行けば誰もいない。 行く途中でも誰も見かけなかったよ。 俺が知る限りでは文化祭以外では奉仕部は、ほぼ毎日活動していたはずだったが」 八幡「とっとと要点を話せ。 長ったらしい前置きはいらん」 葉山「それは済まなかった。 それじゃあ聞かせてもらうとするよ。 それだけだ」 葉山「自分に泥を塗りたくって周囲を傷つけてか?随分と無様だな、比企谷……流石孤独なだけあるな」 八幡「俺には自分の思い通りに動けないお前の方が無様に見えるんだがな」 葉山「君は動いたあげく状況を悪化させているようにしか見えないな」 八幡「これはリセットだ。 元あった状態に戻してるだけだ」 葉山「リセット……だと」 八幡「ああ、そうだ。 これでもう二度と争いは起きなくなる。 実に平和的な解決法じゃな……ガッ……」 ズドン!! 今まで……いや、今でも俺が成し得なかったことだ……」 八幡「……」 葉山「俺は正直言って悔しかった。 何故君はそこまで自分を犠牲に出来るのか。 誰だって手に入れられないものがあるし、苦悩だってある」 葉山「そして比企谷、君にもそれが当てはまる。 だが君は僕達が持っているものは手に入れられない」 八幡「喧嘩売ってんのか……」 葉山「……君はもう分かっているんじゃないのか。 自分が何を持っていてそして……自分が何をすべきなのか」 八幡「……」 葉山「一応喧嘩を吹っ掛けた事は謝るよ。 済まなかった」 八幡「一応って、お前謝る気無いだろ。 ……クソ、喧嘩なんて距離の近い奴同士でやる俺には縁の無いものだと思ってたんだがな……」スタスタ 八幡「……手間を掛けさせて済まなかった……その、ありがとう……」 バタン 葉山(喧嘩……か。 虫が良すぎるかもしれないが……) 職員室 コンコンガチャ 八幡「失礼……します。 奉仕部の存続に深く関わる大事なことだ」 雪乃「……」 平塚「その為にもある人物から話がある。 私は仕事に戻る」 平塚「比企谷、もう自分から……傷つく必要は無いからな……」ボソッ ピシャ 八幡「……」 雪乃「……何の用かしら?あなたは……私達のことが……嫌いだったのでしょう」 八幡「ああ、確かに嫌な時は沢山あったな。 割とイケメンなのに目の事を執拗に言われたりとか、トラウマを無造作に掘り返されたりとかマジで傷ついたさ」 雪乃「……」 八幡「だが俺は嘘をついた。 嫌な部分も確かにあった……だがそれが辞めた理由じゃない。 俺は昨日あの時、お前達の話を聞いた」 雪乃「……!」 八幡「正直夢みたいな話だったさ。 学校でも一二を争う美女二人が俺に好意を向けてくれてることが明確になったんだからな。 そして今度は全てを捨ててまで逃げようとした。 結果、俺は雪ノ下と由比ヶ浜を傷つけた……」 雪乃「……」 結衣「……」 八幡「だが俺はもう逃げない、逃げたくない。 この奉仕部での時間を失いたくない。 それが俺自身が編み出した俺の為の俺の答えだ」 八幡「俺は雪ノ下も由比ヶ浜も受け入れることはできない。 俺はここで明確な答えを出したかった」 八幡「何よりお前達が俺のせいで争う必要は全く……」 パーン! 私が初めて好意を向けた相手は私の友人が好きな人だった。 私は私の好意を通すことで由比ヶ浜さんに拒絶されてしまうことが怖かった……」 結衣「ゆきのん……」 雪乃「確かにあなたの言う通りだわ。 逃げていれば私達の過ごしてきた時間は無駄になる。 だから私は全力であなたに好意を通す。 でも勘違いしないでほしいの」 雪乃「私はあなたの為に争うつもりは毛頭無いわ。 ゆきのんと争うのが嫌だった。 だけど今は違う。 私はゆきのんに……ヒッキーに真っ向から立ち向かいたい!」 八幡「!!」 結衣「そしてゆきのんを拒絶なんて絶対にしない。 ヒキタニ君こそどうだい?」 八幡「おかげさまで」 葉山「そうか……良かった」 葉山「……こんな事を言うのもアレだが、やはり俺は君を受け入れられそうにない」 八幡「別に無理矢理受け入れる必要は無いだろ。 金子みすずの詩でもそう言ってるだろ」 葉山「みんな違ってみんないい……か。 どのような結果にも良くも悪くも何かしらの理由を付けてそれらが青春の一ページであるかのように自らをだまくらかしている 青春とは悪である。 青春の名の下に自覚無く自分勝手に行動し周りに迷惑をかけまくる。 そしてそれらが蔓延している なら俺の場合はどうか?答えは簡単だ。 青春とは夢である。 誰もが思い描く限られた時間。 そしてその誰もが知らず知らずの内に青春を謳歌している。 その誰もの中に俺が入っているのは明白だ そして夢であるからこそ人は無計画に思ったことをやれるしうなされもする。 そして夢である以上、必ずいつかは目が覚める。 なら目が覚めるまで、この青春を謳歌しようじゃないか。 そして目が覚めた後、俺はこう思い返すであろう…… やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
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