八幡アンチ。 八幡「分かってた、はずだったのに」

感染制御室(ICT)

八幡アンチ

八幡 今日もか……。 修学旅行での偽告白のことが噂で広がってしまい俺を見る周りの目がさらに厳しくなり毎日のように机に落書きをされる日々を送っている 八幡「はぁ」 クラスメイトA 「来た来た」 クラスメイトB「ははは、比企谷!溜め息なんかついてどうしたんだ?」 クラスメイトC「落書きされてんのか?可哀想に。 まぁ、やったの俺達だけどな」ガハハ 八幡 毎日やってて飽きないのかよ。 消すの大変なんだぞこれ ハァ ガラッ 静「皆、席につけ!」 八幡 なんとか消し終えたな。 マジックとかで書かれるよりかはまだマシか 静「いきなりだが今日からこのクラスに新しい仲間が加わることになった。 おい、入ってこい」 ガラッ 愛理「初めまして稜城愛理です!皆さんよろしくお願いします」キョロキョロ 八幡 ……マジか 愛理「あっ、いた!八幡だ!」ダッ 八幡 あいつこっちに走ってきたぞ 愛理「会いたかった!」ギュッ クラスメイト『はぁぁぁぁ!?』 静「ちっ、リア充爆発しろよ!!」 八幡「お、おい!いきなり抱きつくなよ」 愛理「いいじゃん!久々の幼なじみ同士の再会なんだし」ギュュッ 八幡「痛い痛い!何?これ嫌がらせなの?抱き締め殺されちゃうの?」 愛理「何言ってるの?八幡を殺すわけないじゃん。 死んじゃったら私が悲しむよ?」 静「おい。 お前ら教師の前で抱き締め合うとはなかなかいい度胸じゃないか」 八幡 あぁ、なんかめんどくさいことになるなこれ…… 八幡 それから10分ぐらい平塚先生の公開説教がクラスで行われた。 ちなみに愛理は隣の席になった ~休み時間~ 「ねぇねぇ、稜城さんってどこから来たの?」 「えっと……あの人はどういう関係?」 八幡 さすが転校生とあって人気があるな。 というか名前分からないからって指を指すなよ 愛理「兵庫県からだよ。 生まれは千葉だけどね。 八幡とは幼なじみ同士だよ」 「幼なじみか。 どうせお前の好きは幼なじみとしてだろ? クラスメイトA「稜城さん、あいつはクズだから止めたほうがいいよ」 クラスメイトB「そうそう。 といかあんな奴と幼なじみとか稜城さんが可哀想だ」 クラスメイトC「どうせあいつに脅されたんだろ?」 八幡 またあいつらか 愛理「誰がクズだって?」 クラスメイトA「えっ?」 愛理「それ八幡のこと言ってるの? なら容赦はしないけど?」ギロッ クラスメイトABC「い、いやなんでもないです」 愛理「そうだ。 八幡、今日は一緒に帰ろ?」 八幡「部活が……というか一人で帰れよ」 愛理「私は八幡と一緒に帰りたい。 昔みたいに」 八幡「はぁ、わかった。 ただし、部活が終わったらな。 行かなかったら雪ノ下がうるさいからな 」 愛理「八幡が部活?なんの?」 八幡「奉仕部だ。 まぁ、お悩み相談室みたいなところだな」 愛理「じゃあさ、私も一緒に連れてってよ」 八幡 こいつを連れていくと絶対にめんどくさいことになる 八幡「いや、今日の部活はアレがアレだからいろいろ忙しいし無理だ」 愛理「八幡の『アレがアレだから』って言うときは特になにもない時なんだよね。 その部活暇でしょ?」 八幡 さすがは幼なじみだな。 俺のことをよく知ってるからごまかしは効かないか 八幡「はぁ、わかった」 ~放課後~ 部室前 ガチッ 八幡「うぃす」 結衣「あっ!ヒッキー!朝のあれはなんだし!!」 八幡「いきなりうるせぇよ」 雪乃「わいせつ谷君、由比ヶ浜さんから聞いたわ。 あなたが転校生に抱きつくなどの行為をしたこと」 八幡「事実と異なる点があるから異議を申し立てる」 雪乃「却下よ。 比企谷君には異議を申し立てる権利は存在しないわ」 八幡「人権侵害だ」 雪乃「あら?あなたは人間だったかしら?」 八幡「もはや、人として認知されてないのかよ」 愛理「」イライラ 八幡 ところでもの凄い後ろの方から殺気がするんだが 愛理「ねぇ、早く中に入れて?」イライラ 八幡「お、おう」 愛理「失礼します」イライラ 結衣「あー!ゆきのん、さっき話した転校生だよこの人!」 雪乃「あまりのわいせつ行為に耐えきれなくなり私達に相談しにきたのかしら?なら部長として謝罪と通報ぐらいはするわ」 愛理「ねぇ、八幡に酷いこと言うのやめてくれない?」ギロッ 雪乃「えっ?」 愛理「私、八幡を悪く言われるの大嫌いなんだけど」 雪乃「ご、ごめんなさい」 愛理「私にじゃなく八幡に謝って」 八幡「いや、俺は気にしてないから大丈夫だ。 それにいつものことだし」 愛理「いつも?いつも八幡はこんな言われ方されてるの?」 八幡 やば、余計なこと言ってしまった 愛理「どうなの?八幡」 八幡「ま、まぁ、早く座らないか?立ちっぱなしもあれだしな」 愛理「……わかった」 座席位置 雪 結.愛 .八 愛理「なんで私の隣に来ないの?八幡」 八幡「ここが俺の席だし。 椅子動かすのがめんどいし」 結衣「ねぇねぇ、ヒッキー。 稜城さんとはどういう関係?」 八幡「幼なじみだ」 雪乃「どうやって彼女を脅したのかしら?」 八幡「いや、脅してねぇし信じないのかよ」 雪乃「にわかには信じがたいわね」 愛理「八幡とは幼なじみだよ。 今はね」 結衣「今は?」 愛理「私は八幡のことが好きだから」 八幡 騙されるな八幡。 愛理が言ってるのはあくまでも幼なじみとしてだ。 勘違いするな 愛理「まあ、八幡は好きの意味を勘違いしてるみたいだけどね」チラッ 八幡「悪いが勘違いはしてない。 幼なじみとして俺が好きなんだろ?」 雪乃「救いようがないわね」 結衣「まあ、ヒッキーだし」 八幡 なんか物凄くバカにされたような。 雪ノ下はともかく由比ヶ浜にバカにされるのはな…… 愛理「言っちゃうけど私は八幡を一人の男として好きだよ」 八幡「えっ?」 雪乃「なっ!」 結衣「ちょっと!あいりん!」 愛理「あ、あいりん?」 八幡「気にするな。 こいつは人のことをあだ名で呼ぶのが趣味なんだよ」 結衣「別に趣味じゃないし!」 愛理「まあ、どうでもいいけど私は本気で八幡が好き」 八幡「ドッキリ?」 愛理「ドッキリじゃない」 八幡「あっ、こうしろって言われたのか」 愛理「八幡!いくら私でも怒るよ?人が真剣なんだからちゃんと返事聞かしてよ」 八幡「ま、マジなのか?」 愛理「私は中学の卒業後に引っ越しをしたけど 八幡と一緒に居たいから親を説得してまでここに転校してきたんだよ?」 八幡「そうだったのか……」 愛理「本気で好きな人じゃないとここまではしないよ」 八幡「なら愛理は本当に」 愛理「うん。 ところでなんの用だ?」 一色「別の用事はありましたが今はそんなことどうでもいいです!それより!」ジロッ 愛理「?」 一色「先輩は渡しませんから!」ギュッ 八幡「お、おい!腕に引っ付くな!」 雪乃「なに、後輩に引っ付かれてデレデレしてるのかしら?」 結衣「ヒッキーマジキモい!」 八幡「俺が悪いのかよ」 愛理「私のライバルってこと?」ギロッ 一色「そういうことになりそうですね」ギロッ 八幡 愛理と一色が睨み合ってて怖い 雪乃「二人には悪いけど比企谷君はこの部の備品よ。 既に比企谷君の所有権は私にあるわ」ジロッ 結衣「なら私も同じ部活だからヒッキーは私のだよ!」 愛理「幼なじみを舐めないでくれる?何十年、一緒にいたと思ってるの?」 一色「恋愛に年数は関係ないです!それに幼なじみって恋愛感情になりにくいって聞きますけど?」 雪乃「そうね。 一緒にいるのが当たり前で意識されてないことが多いって聞くわね」 一色「それに先輩は年下が好きみたいですし」 結衣「違うよ。 ヒッキーは私みたいに胸が大きいのが好きなんだよね?」 八幡「俺に振るな!」 雪乃「彼の将来は専業主夫だそうよ。 なら家が裕福な私の方が彼にふさわしいと思うのだけれど?」 愛理・雪乃・結衣・一色「……」イラッ 八幡 きょ、今日の部活は修羅場過ぎる。 早く帰って小町に癒されよう ~帰り道~ 愛理「これからどこ行く?」ギュッ 八幡「どこも行かん。 それと腕離せ」 愛理「喫茶店でも行く?」 八幡「き、聞いてねぇし」ガクリ 八幡「というかお前の家ってこっち方面だっけ ?」 愛理「ん?私の家は八幡の二軒隣だよ」 八幡「マジで?」 愛理「うん。 あの三人は家が逆方向なんだね。 私的には八幡を独占できるから嬉しいけどね」 八幡「愛理、教室では俺に話しかけない方がいいぞ。 俺は嫌われ者だから一緒にいるとお前も何されるか分からんぞ」 愛理「そんなの気にしないしさせない。 もちろん、八幡に嫌がらせなんてしたら……」フフフ 八幡 怖ぇよ 愛理「ねぇ、そんなことより告白の返事は?」 八幡「は?あれマジだったのか?」 愛理「いや、この期に及んで何言ってるの?」 八幡「場を和ますための嘘かと」 愛理「なわけないでしょ。 嘘でもないし冗談でもない」 八幡「そうか。 ……で?何を隠してるんだ?」 愛理「何が?」 八幡「普通に考えろ。 ただ俺と一緒に居たいという理由でわざわざ親を説得し引っ越ししてきて俺に告白なんて普通に考えてあり得ない」 八幡「そもそも親がそんな理由で引っ越しを了解するはずがない。 つまり、他に理由があるはずだ」 愛理「はぁ、さすがは八幡。 全てお見通しか」 八幡「ぼっちなめんな」 愛理「それは関係ないんじゃない?まあ、バレたのなら話すよ。 私が引っ越しをしてきた本当の理由」 ~公園のベンチ~ 愛理「驚かないでって言っても無理かもしれないけど聞いてくれる?」 八幡「あぁ」 愛理「実は私、重い病気にかかっちゃたんだ」 八幡「重い病気?」 愛理「うん。 体の免疫が段々弱くなっていくんだって」 八幡「治るのか?」 愛理「治療はしてるけど効果がないみたい」 八幡「そうか……」 愛理「でね、このままの状態が続くと私は生きていけないらしいの」 八幡「なっ!嘘だろ!」 愛理「本当だよ。 中学卒業後に引っ越したのはこの病気に力をいれて治療している病院に行くため」 八幡「なんで言わなかったんだよ!」 愛理「八幡に心配かけたくなかったから」 八幡「心配かけたくないってお前な」 愛理「ごめんね。 いきなりこんな話をして」 八幡「まだ治療は続けるんだろ?」 愛理「するけど治るかどうかは半々みたいでなんとも言えないかな」 八幡「じゃあ、なんでここにまた引っ越ししたんだ?病院が近い方がいいだろ」 愛理「八幡がいるからだよ。 この先、もし何かあったらもう二度と八幡に会うことなんて出来ない。 それが嫌だった」 愛理「それで八幡に会ったら『絶対に告白しよう』って決めてた。 断られてもそれでいいって伝えられないまま死ぬ方が私は嫌だったしね」 八幡「愛理……」 愛理「まあ、親には大反対食らったけど八幡への想い全部ぶつけて説得したら渋々理解を得たって訳。 あれは人生初の黒歴史になっちゃった」テヘッ 八幡 親になんて言ったかめちゃくちゃ気になる 愛理「だから、私の告白は嘘でも冗談でもない。 私は八幡が大好き!私と付き合ってほしい」 八幡「……俺でいいなら構わん」 愛理「え?ホントに!?」 八幡「まぁ、幼なじみのお前となら気が楽だしな」 愛理「ありがとう八幡」グスッ 八幡「な、泣くなよ。 いろいろあっていろいろあったんだよ」 結衣「説明になってないし!」 一色「そうですよ!ちゃんと説明してください!」 愛理「私と八幡は恋人同士になったんだよ」ドヤッ 雪乃・結衣・一色「は?」イラッ 雪乃「本当かしら?比企谷君」 八幡「ま、まぁな」 結衣「昨日からあいりんはヒッキーが好きって言ってたけど早すぎるよ……」 一色「先輩!私のこと好きだったんじゃないんですか!」 愛理「は?」ジロッ 八幡「変な冗談はやめろ。 あいつらに病気のことは言わなくていいのか?」ボソッ 愛理「言ったってしょうがないでしょ」ボソッ 八幡 まあ、愛理がいいなら別に構わないが 雪乃「それじゃあ、今日はこれぐらいにしましょう」 結衣「そうだね。 一緒に帰ろゆきのん」 雪乃「ええ、いいわよ」 愛理「じゃあ、私達も行こ」グイッ 八幡「お、おい!いきなり腕を引っ張るな」 結衣「バイバイ。 あいりん、ヒッキー」 雪乃「さよなら」 愛理「バイバイ」テフリ 八幡「……」テヲアゲル.

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八幡アンチ

それがなおのこと傷を深くさせた。 依頼は達成させた。 その筈なのに、何も出来なかった奴らに否定された。 唯一の妹の小町ですら分かってくれなかった。 人の事情も聞かず、「どうせゴミいちゃんがいけないんでしょ!雪乃さんと結衣さんに謝ってきなさい!」と言われた。 他人を信用なんかするからいけなかったんだ。 そうだ、俺は元々そうやって独りで生きてきたんだ。 ~翌朝~ 朝、小町が起こしてくれなかった。 それも当然か。 まあまだ間に合うだろうからとりあえず学校に行こう。 今日はどんな仕打ちを受けるのかねぇ… ~放課後~ 放課後か…まあもうあんな部活に行く意味はないだろう… そう思い、帰ろうとすると、白衣の女性が立ちはだかった。 「比企谷、部室はそっちではないが?」 「先生、もう部活には行かないんで。 退部届け書いてきたので」 「そんなこと私が許すと思っているのか?喰らえっ、衝撃のファーストブリットォォ!」 普段の八幡なら当たっていたかもしれない。 いや、当たっていただろう。 しかし、今はその普段ではなかった。 「平塚先生、今の撮っておいたんで。 これ以上言うなら訴えますよ」 拳をよけた八幡の発言によって、教室もざわつき始めた。 「くっ…」 「それじゃあ」ヒラヒラ そう言うと八幡は教室を出ていった。 「ヒッキー…」 放課後、俺は平塚先生の警告を無視し、家に帰った。 っべー、めっちゃ怖かったわ…でもこれであんな部活とはおさらばだ。 帰ったらMAXコーヒー飲んで癒されないと 使命感 そんなそろそろ家に着きそうな八幡を見つけた人物がいた。 「あっ、先輩だ!ちょっと後をつけて驚かせてみよう~」クスクス 一色いろはである。 だがこの軽はずみな行動を一色いろはは後悔する事になる。 ~八幡side~ 「ただいま~」 そう言い、家に入ると、小町が仁王立ちしていた。 「ゴミいちゃん、雪乃さんと結衣さんには謝ってきたの!?」 「あ?謝る必要なんかねえよ」 そう言い通り過ぎようとする八幡。 「どうせ今回もゴミいちゃんが悪いん…」 何かが切れたような音がした。 比企谷八幡は悪意には慣れていた。 が、それは元々敵意を向けられていた場合である。 小町や雪乃、結衣などの信頼していた人からの悪意には慣れていなかったのである。 そんな八幡の限界がくるのは必然であった。 「うるっせえんだよ!!」 「…!!?」ビクッ 「なぁ小町?今回お前は一体俺の何の事情を知ってるんだ?お前は俺が何をしたのか知って言っているのか?」 「だ、だっていつもお兄ちゃんが…」 「知らねえみてえだから教えてやるよ!俺は告白を成功させたいって言う依頼と告白をさせたくないっていう依頼を受けたよ!それで俺は告白の途中で邪魔をした。 解決させるにはこれ以外の方法はなかったんだ。 そしたらこのざまだ。 なあ?お前には何ができた?お前にはこれ以外の方法がわかったのかよ!!!!」 小町はペタン、と床に崩れた。 「……」チッ 八幡はそれだけいって再び家を出て、道を曲がった。 が、 「あ、あははは…」ニガワライ 「一色…?…聞いてたか?さっきの」 「えーと…その…すいません、聞いちゃいました…ちょっと驚かせようと後をつけてたら…」 「あー…いや、いい。 別に気にするな。 変なもの聞かせて悪かったな」 「先輩…何があったんですか?その…良ければ聞かせて貰えませんか?」 「あー…噂とかも聞いたんだろ?説明するから…えーと…どっか喫茶店でも入るか。 この後大丈夫か?」 「えっ、あぁはい… 流石にいつもみたいにふざけてなんですか誘っ ry なんて言えないよね… 」 ~喫茶店~ 「それで修学旅行…ですよね?何があったんですか?」 「実はだな…」 ~八幡説明中~ 「先輩…また…そんな事したんですか…?」 「…お前もそういう反応するんだな。 話した俺が馬…」 いろはにも拒絶されたと思い、帰ろうとする八幡。 だったが… 「違います!私は先輩を拒絶なんかしません!だけど…だけど…なんで先輩は自分の事を大切にしないんですか!?」 「はぁ…今回はこれが最善だったんだ。 お前も分かるだろ?自己犠牲なんかしたつもりは無い」 「先輩はそれでいいのかもしれません。 だけど、先輩が傷ついて悲しむ人だっているんですよ!?少なくとも私は先輩に傷ついて欲しくないです!」 八幡は何か言い返そうとしたが、いろはの目に浮かぶ涙を見てその気は失せた。 「はァ…わかったよ。 今度からは気をつける。 だから、もう泣かないでくれ」 何も感じてないような表情の八幡だったが、自分をこんなにも大切に思ってくれている人が居て心が何か暖かくなるのを感じていた。 と、同時にいろはには泣いて欲しくない、という感情も生まれ始めていた。 本人は気づいてないようだが。

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八幡「分かってた、はずだったのに」

八幡アンチ

・・・奉仕部 平塚先生に半ば無理やり入らされる事になった部活だ。 この部活に入ってからたくさんの問題を解決した。 してやった。 なのにこのザマだ。 手に入れたモノは何もない。 自分に毒を吐く冷徹女、自分の心の傷を無意識に抉ってくる知能低め巨乳。 こんな2人とどう接しろと。 その2人は勝手に仲良くなったとか思っているのだろうか。 もういい、もう充分だ、もう勘弁してくれ 俺は平穏が欲しかったんだ、その為に部活動に力を貸してやった。 それなのに返ってきたのは罵詈雑言、憎まれ口など。 俺がどれだけ頑張ったか知っている2人でさえも俺に優しくしてくれることはなかった。 あろうことか「やり方が嫌い」「人の気持ちを考えろ」だと? どの口が言うんだ。 やり方が嫌い?仲間もいない、助けてくれる人もいないのに自分を犠牲にする事以外何か方法があんのかよ。 人の気持ちを考えろだあ?いつも俺に言ってくるよな?キモいとか死ねとか。 よく言えるよなこの恩知らずが。 ーそんなことを修学旅行帰りの新幹線の中、考えていた。 戸塚 「どうしたの?八幡?」 八幡 「ああ、なんでもない」 戸塚は素直な好意を向けてくれた唯一の友人だ。 戸塚には言ってはいないがいつも感謝している。 戸塚 「何か悩んでる事でもあるの?さっきから目が悲しそうだけど」 こいつになら言ってもいいか。 八幡 「・・・奉仕部を抜けようかと思ってな」 戸塚は一瞬びっくりしたような顔をした後、全てを察したような顔をした。 戸塚 「そっか。 でも八幡が決めたことならいいんじゃないかな、でもどちらにせよ後悔だけは残らないようにね」 道を選ぶのは自分自身が決めることだ、と言われたような気がした。 八幡 「ありがとう、戸塚」 戸塚は笑顔を返してくれた。 ー翌日 今日は日曜日だ。 いつもは自堕落に過ごし、惰眠を貪るのだろうが、箱単位でストックしてあったマッ缶が切れてしまったため、仕方なく自転車で10分のスーパーへ向かう事にした。 春が過ぎ、夏の芽が見えてきたこの季節、太陽がこれでもかと日光を浴びせてくるため暑く、じわりと肌着に汗がにじむ。 この不快感を拭い去るようにスーパーの入り口が開き冷房の効いた風が身体をすり抜けていった。 八幡 「ふぅ・・・」 スーパーの中はとても快適な温度で、客にゆっくりと買い物をしていってくれ、と言わんばかりの心地よさだ。 余韻に浸りたいところであったが家にも冷房はある。 自分の帰る時間を計算し、タイマーで自分が家に着く頃にはこの場所より冷えた温度が迎えてくれる。 八幡 「マッ缶、マッ缶っと。 お、あったあった」 本来の目的であるマッ缶1ダースを抱えレジへ向かおうとしたその時 川崎 「あ、比企谷じゃん」 以前俺が奉仕部の活動として問題を解決するのに力を貸した人物がそこに居た。 八幡 「うっす」 川崎 「その手に持ってるものはコーヒーか、あんたもずいぶん物好きだねぇ」 八幡 「普通のコーヒーとこのマッ缶、もといマックスコーヒーは全く違うぞ」 本当はもっと説明してやりたいがそんな気分ではなかった。 川崎 「興味ないね。 で、もうすぐ昼ごはんの時間だけどあんたアテはあんの?」 今日は両親と小町ともども遊びに出かけている。 ご飯代と称して2000円を貰ったが、一食くらい抜かしても問題ないだろう、とそのお金は自分のお小遣いにした。 八幡 「ねえな、別に一回くらいなら食わなくてもよくねえか?」 川崎の表情が少し怒ったようなものになった。 川崎 「あんたねえ、そういうことしてると身体壊すよ。 丁度いい、私が作ってあげるよ」 八幡 「いや悪いって」 川崎 「いいから早く行くよ」 八幡 「・・・わかった」 いつもなら頑として受け入れないだろう。 優しさに飢えていたのだろうか、彼女の優しさが欲しいと感じてしまった。 ー比企谷宅 慣れた手つきで料理をしていく川崎を眺めていた。 事前に好き嫌いを聞かれたため、嫌いな料理が出ることはないだろう。 家族以外の料理を食べるのは初めてでどこか落ち着かない。 八幡 「川崎は今日家族はどうしたんだ?」 川崎 「母方の実家さ。 明日は祝日だろう?泊りがけで行くらしいんだ。 でもうちらは学校あるだろ、だから留守番だよ」 自分の境遇と同じで面白おかしくも、川崎の慣れた手つきに目を奪われていた。 川崎 「ほら、できたよ」 できたのは肉野菜炒め、豚汁、サンマの塩焼きと至ってシンプルなものであった。 だが、 八幡 「・・・美味い」 手間のかからない、自分でもできそうな料理の筈なのに、越えられない壁があるような、とにかく言葉では表現しきれない美味しさだった。 川崎 「そう言ってもらえると助かるよ」 しばらく一緒に箸を進めていた時、 川崎 「家族はどうしたの?いないみたいだけど」 言ってなかったのを今思い出した。 八幡 「今日は帰ってこないよ、俺1人だけ。 」 川崎 「そ、そうなんだ」 珍しく動揺している。 まあ、無理もないか。 昼ご飯を食い終わったら帰ってもらおう、そう思った矢先に 川崎 「めっちゃ降ってるね・・・」 何故だ、なぜ雨が降る。 八幡 「弱まるまでうちにいたらどうだ?風邪ひかれたら困るし」 川崎 「そうだね、そうするよ」 八幡 「適当にリビングでくつろいでてくれ、俺は寝る。 帰れると思ったら起こしてくれ、送ってく」 そう言い放ち、二階にある自分の部屋へ向かった。 川崎 「無用心だね・・・まあ、ありがとう」 何か聞こえた気がしたが、気にするほどのものでもないと判断し、ベッドに寝転がった。 次第に眠気が身体を包んでいく。 ・・・「ヒキガエル君、臭いから帰って頂戴」 ・・・「ヒッキー本当にキモい!死んで!」 目を覚ますと心配そうな顔をした川崎がこちらを覗き込んでいる。 川崎 「ねえ、なんの夢を見てたの?寝言で『もうやめてくれ』とか言ってたけど」 八幡 「・・・気にすんな」 川崎 「あんた何か隠してるでしょ。 話してみなさいよ」 八幡 「別にお前が気にかけるようなことじゃねえよ」 少しつっぱねるような言い方をしてしまって後悔した。 それでも川崎は、 川崎 「いいから。 悩みは人に話せば軽くなるよ?」 俺に優しくしてくれた。 八幡 「・・・なんでそんなに俺に優しくしてくれるんだ?スカラシップの事ならもういいのに」 川崎 「バカだねえ、目の前で涙流してるがいたら手を差し伸べるだろ?」 目をこすると湿った感触がした。 八幡 「・・・見るなよ」 そういうとまた涙が出てきてしまった。 川崎 「・・・・・・」 無言のまま川崎は俺の身体を抱きしめ、撫でていく。 そんなことするなよ。 また泣いてしまう。 八幡 「・・・ぅぐっ」 川崎の胸で俺は声を殺して泣いた。 今まで誰にも話せなくて、心に溜め込んだ黒い感情が流されていくような不思議な感情だった。 ー翌日 目を覚ますと川崎と抱きしめ合っていた。 だけどそれは嫌ではなくて、むしろこのままで居たいという気持ちがある。 八幡 「起きろ、川崎」 川崎 「・・・ぅん?」 瞼をゆっくりと持ち上げ、茶色い瞳を覗かせる川崎は少し動揺している。 川崎 「え、なんであんたがここに」 八幡 「昨日あれからそのまま寝ちゃったみたいだな」 あの抱擁された時、そのまま寝てしまったのだろう。 八幡 「もう7時だから腹減ったよ、飯食おう」 川崎 「う、うん」 二人で階下へ降りるとそこには小町がいた。 小町 「お、お兄ちゃん、そそそそその人は」 八幡 「アレの姉だよ、アレ。 名前なんつったっけ、少年が抱きそうな名前だよ」 川崎 「大志だよ、あんたわざとだろ」 小町 「それは知ってるよ!二人で朝までナニしてたの!?」 それを聞かれるととても痛いが、下手に誤魔化しても後でバレるだけなので正直に話す事にした。 八幡 「昨日雨降ってただろ?それで止むまでいさせたんだけどな」 小町がうん、と頷く 八幡 「そんで寝てたら朝だった」 小町 「それおかしいよ、なんで寝るの!?」 川崎 「やましい事はしてないから、安心してよ」 八幡 「・・・・・・」 やましい事と聞いて、昨日の夜のことを思い出す。 そうして視線をそらすと、 小町 「なんで視線そらすの!」 八幡 「いや・・・別に・・・」 俺が困っていると川崎がとにかく朝ごはんを食べてからにしよう、と提案したので俺はそれに賛成した。 ー15分後 またまた手際よく料理を終わらせ、健康的な品揃えがテーブルに並ぶ。 いただきます、と手を合わせ食事をいただいていると、 小町 「美味しい・・・お義姉ちゃんって呼んでもいいですか?」 バカげた小町の発言に川崎はむせていた。 八幡 「黙って食えアホ」 食事を終え、シャワーを浴び俺は学校へ向かう準備をする。 川崎が家に寄らないといけないので、いつもより30分はやく家を出た。 八幡 「昨日はありがとうな」 川崎 「気にしないでいいって、困った時はお互い様だろ」 川崎の器の大きさに、危うく惚れるところだった。 いや、とっくに惚れていたのだろう。 八幡 「・・・また今度アレやってもらってもいいか」 自分でも恥ずかしいと思うことを言ってしまった。 だけど川崎は、 川崎 「そんなに私の胸が気に入ったのかい、このスケベ」 八幡 「おう」 川崎が茶化すように言ってくれたので、返事に困ることはなかった。 川崎 「わかった、いいよ」 綺麗な笑顔を浮かべた川崎がこちらをみてくる。 俺はこの笑顔から目をそらせないでいた。

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